ドズル社はYouTubeチャンネル登録者数が250万人を超える人気ゲーム実況グループです。約2年にわたる公式グッズサイト「ドズル社ストア」の運営支援と内製化支援の取り組みを振り返って、ドズル社のご担当者様にお話を伺いました。
【お話を伺った方】
みかん 氏(以下みかん)
自社グッズ全般の企画とストアのラインナップ戦略を統括。
だいぶつ 氏(以下だいぶつ)
ECストア内製化プロジェクトのリーダー。現場の運用フロー構築を担う。
えこ 氏(以下えこ)
IP側とEC側の調整役。運用負荷を考慮した企画立案を行う。
※ドズル社様はニックネーム制を導入しています
ドズル社の概要とECストア立ち上げの背景
― まずは簡単に「ドズル社」について教えてください。
ドズル社は「人生というゲームをもっと楽しく」という理念で様々なエンターテインメントをお届けしています。
主な活動としては、YouTubeでの動画公開やライブ配信ですね。またドズル社ストアでのグッズ販売や、ライセンスアウト形式でIPの貸し出しも行っています。
ドズル社のYouTubeチャンネル
― ありがとうございます。早速ですが、「ドズル社ストア」というECストアを立ち上げたそもそものきっかけはなんだったのでしょうか?
私たちは実店舗といったリアルな販路を持っていなかったので、全国のドズル社ファンに自分たちのグッズを届けたい、という気持ちでECストアを立ち上げました。
立ち上げ当初はグッズの製造からECストアの運営までお任せできる支援会社に運営を委託していました。製造から発送までがシームレスなので在庫を多く抱える必要もなく、小さな規模から試しつつ拡大を目指せる「立ち上げフェーズ」として期待がありました。
そのときはライセンスアウトはしていなかったんでしたっけ?
そのころはまだドズル社としてIP展開をやり始めたフェーズだったので、ライセンスアウトの展開はまだ少なかったです。「グッズをつくる」というのもこのときが初めてだったので、「まずは自社でつくって自社で売る」というのをドズル社ストアだけでやっていました。
手探りの初期運営と潜んでいた課題
― その当時の「ドズル社ストア」の運営体制はどうなっていましたか?
ドズル社としてはShopifyの権限だったりアカウントだったりを持っていなくて、完全に委託運営という形でやっていました。
先ほどもお伝えしたように商品の製造からやっていただいて、Shopifyへの登録だったり、お客様対応までもすべて委託でお願いしていました。なので、その裏側でどういうことが行われているか?というのは正直把握していなかったんです。
Shopify(の内部)を見に行くということもなかったので、どの商品の売れ行きがよかったか?というのも毎月エクセルで売上報告をいただいて知る、という感じでした。ユーザー数がどれぐらいで、とか、販売してどれぐらいのスピードで売れていくか?というのも、都度データを出してもらう感じでしたね。
― 本当に全部お任せされていたということですが、それとは別に社内での課題感みたいなものがありましたか?
そうですね、すごく細かいところなんですけど、商品やシリーズの命名規則だったり、カテゴリ設定だったり、そういう基礎的な「ルールをつくる」という考えが当時はなかったなと思います。自社で運営していないからこそ、何が基礎なのかもわかっていないというか。技術面でいうと、ドズル社には当時、ECの専門知識を持った担当者が一人もいない状態で。
委託先から運営を引き上げるにしても、正直、自分たちで何から手をつけていいのかというノウハウが全くない状態だったんですよね。商品企画に関わるメンバーも当時は2名ほどで、しかも他の業務と兼任していたので、リソース不足もかなり深刻な課題でした。
ドズル社様とコマースメディアのミーティング風景(バーチャルワークスペース「Gather」にて)
― ファンのみなさんへ「ドズル社らしいグッズ体験を届ける」というところも同じようにもどかしさを感じていたのでしょうか?
そうですね…以前の体制だと、受注や配送のところでミスが頻繁に発生していました。ご注文と異なる商品をお届けしてしまったり……。
― 当時は(物流拠点として)倉庫を持つ予定はありましたか?
倉庫っていう概念もなかったですね。
運営委託先で注文を受けてから商品をつくって発送していただく、というフローだったので、自分たちで在庫を抱えることもありませんでした。
でも、受注から出荷までシステムがしっかり入っていたわけでもなかったので、どうしても人的ミスが多くなってしまっていたのかな、と思っています。
コマースメディアの支援につながったきっかけ
― そんな状況から弊社の運営支援につながっていくと思いますが、ここに至ったきっかけはありますか?
ドズル社の規模感がありがたいことに大きくなってきていて、日ごとの注文数であったり、新商品を発売した際の注文数もどんどん増えてきていました。
注文が増えるにしたがってミスも増えてしまうところがあり、「ルールの均一化」や「システマチックな運営」がより必要になった、というのが大きなきっかけだったと思います。
― 今の話に関連して「これはまずい」と思った決定的なエピソードはありましたか?
ドズル社が右肩上がりに伸びていく中で、今でもすごく覚えているエピソードがあって。ドズル社の3周年記念グッズを販売したときのことなんです。300個限定で1万円くらいの高価格帯の商品を出したんですけど、それが本当に、販売開始と同時に一瞬で売り切れてしまったんですね。でも、私たちは当時ECの仕組みをよくわかっていなくて、300個用意したから大丈夫だろうと油断していました。
実際には「重複注文」というか、同じタイミングで一斉に注文が入ったことで、300個以上売れてしまって在庫が足りなくなる、ということが起きたんです。
サイトが落ちたわけではないんですけど、予備の概念もなかったし、同時に注文が通ってしまうなんて思ってもみなかった。そういう経験を通して、自分たちが裏側で起きていることを全然把握できていないんだな、ということを痛感したというのはありますね。
ドズル社 3周年記念グッズ
コマースメディアの伴走で実現したこと
― そこからコマースメディアが伴走することになるわけですが、実際に支援が始まってどうでしたか?
MDに関わる社員がそもそも少ない中で、お客様対応やShopifyへの商品登録といった実務をまるっとお任せできたのは、当時の私たちの体制にすごくフィットしていたなと思います。知識がゼロの状態から1から調べてやるのは無理がありましたし。
あとは、以前はミスが多くてその対応に追われていたんですけど、(コマースメディアの)支援をいただいてからはミスが少なくなりました。それによって、お客様への1対1の対応だけじゃなくて「会社としてどう対応すべきか」というリサーチや、他社さんの事例を提案していただくといった、より本質的なところにドズル社としてのリソースを集中できるようになりました。
ドズル社ストアの商品一覧ページ
私からも補足すると、商品の見せ方やキャンペーンの戦略といった、よりユーザー体験(UX)に近い部分でのアップデートでも、すごくお力添えをいただけたなと感じています。例えば、レコメンド機能の導入もそうですし、「送料無料キャンペーン」の表示のさせ方ひとつとってもそうです。
単にキャンペーンを打つだけでなく、「サイトのどこに、どう表示すればお客様に伝わるか」というレベルで、「こういうことがしたい」と相談すると、それが現実的なのか、運用負荷はどうなのかといった具体的な視点を含めて、とにかくスピーディーに打ち返していただける。そのスピード感にはすごく助けられました。
そういう「新しい機能を入れたいな」というときに、Shopifyは無数のアプリから選んで機能をいれていくじゃないですか。
どれがドズル社にとって最適なのかを判断するのは、やっぱり知見がないと難しいなと感じていて。それをコマースメディアさんに相談するのは「プロが最適なアプリを選んでくれた」という感じで、本当に助かりました。
あと、僕は途中からこのプロジェクトに入ったんですけど、CS(カスタマーサポート)まで含めて一貫してお任せできるのは、本当に話が早いなと感じていました。
ゲーム開発なんかの現場だとCSを社内に持つか、完全に切り離してアウトソーシングするかになるんですけど、一般的にCSをアウトソーシングすると、現場の情報を繋ぐだけで膨大なコストがかかるんですよね。そこが、コマースメディアさんの場合は運営とCSが同じチームで動いてくれているので連携が極めてスムーズで、判断が非常に早かったですね。
運営支援を糧に進めたドズル社ストア内製化
― 支援開始から約2年が経って、内製化を強く意識し始めたのはなぜだったのでしょうか?
一番はやっぱり「スピード感」ですね。
僕たちは毎日YouTubeで動画コンテンツを出していますけど、ユーザーさんの反応ってめちゃくちゃ早いんですよ。話題になった瞬間にピークが来て、すぐに過ぎ去っていく。そうなったときに、内部で運営を完結できれば、よりその熱量に合わせたスピードで動けるよね、という話は社内でもありました。
ライブ配信の様子
支援をいただいている間は、情報として断片的な部分もあったなと思っていて。
例えばShopifyとロジレス(注)、そして倉庫がどのようにデータで繋がっているのか、その全体像が見えていませんでした 。
2年間の伴走を通じて、在庫の動きや出荷フローの構造が可視化されたことで、自分たちでも「こう動かせばいいんだ」という内製化への具体的なイメージが湧いてきました。
(注)受注~出荷までを自動化する、OMS/WMS一体型システム。
― 内製化を進めるにあたって、不安だったことはありますか?
シンプルに「今の注文量を自分たちだけで回しきれるのか」という不安はありました。
でも、コマースメディアさんからの引き継ぎの段階で、作業の枝葉だけじゃなくて「この作業は何の目的でやっているのか」という全体像を図式化して教えていただけたのが大きかったです。
ただ手順をなぞるだけだと応用が利かないですけど、仕組みとして腹落ちできたので、だんだんと不安が解消されていきました。網羅的なマニュアルも作っていただいたので、何かあってもここを見れば大丈夫だという安心感もあります。
― 内製化して、社内の意識に変化はありましたか?
CS対応を自分たちでやるようになって、ユーザーさんの熱量を直に感じるようになりました。中にはすごく感情のこもったお問い合わせもあったりして。
運用上の制約などから、すぐの対応が難しいケースもありますが、その裏側にある熱意を知ることで「トラブルをなくしたい」という意識がこれまで以上に強くなりましたし、それをいかに運営に反映していくか、という視点が自然と生まれるようになりました。
目指すは「遊び場としてのEC」
― これからのドズル社ストアが目指す姿について教えてください。
YouTubeの生配信だと2万人、3万人の人が同時に見てくださっています。その場で商品を紹介して、その熱量が冷めないうちに届ける、といったスピード感のある企画をもっと突き詰めていきたいです。
例えば年末の「流行語大賞」で決まったワードを、お正月休みの間に商品化して販売する、といったことを企画しましたが、今後は同じようなことをより自社主導でやっていけると思っています。
動画内の企画から生まれた商品
私は「遊び場としてのEC」というキーワードを大切にしたいなと思っていて。
ただカートがあって買い物をするだけの場所じゃなくて、もっとゲーム的な体験だったり、ファンサイトのように会員限定のコンテンツと連動させたり。具体的に何をするかはまだこれからですけど、ドズル社らしいワクワクするような体験を、ストアを通しても届けていきたいですね。
今はまだ、ECサイトは動画から来た熱量を受け止めるだけの場になっている側面もありますけど、今後はストア自体からもコンテンツが生まれてくるような、体験の拡張をしていければ面白いなと思っています。
あくまで主役は動画ですけど、それをより強化できるような場所にしていきたいですね。
最後に:EC運営に悩むすべての方へ
― ECの内製化や運営に悩んでいる事業者の方へメッセージをお願いします。
ノウハウが何もない状態だと、どこから手をつけていいかわからないのが普通だと思います。
私たちの場合は、最初から「いつか卒業して内製化する」というゴールを見据えて伴走していただけたのが、すごくありがたかったです。
並走しながら少しずつ自分たちの中に知見を貯めていく、というスタイルは、リソースの限られた事業者にとってはすごく心強いんじゃないかなと思います。
丸腰で相談しても、決して「できない」とは言わずに、どうすれば実装できるかを一緒に考えてくれる信頼感がありました。
ECサイトとしての土台をしっかり構築してくださったからこそ、今の挑戦があると思っています。
何がわからないかがわからない状態でも、まずは相談してみることだと思います。
一緒に動いていく中で「こういう仕組みで動いているんだ」というのが見えてきますし、内製化を支援してくれるプロが隣にいるというのは、すごく心強いですよ。
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