
はじめに:Webサイトの目的によって最適なCMSは変わる
「Shopify(ショッピファイ)」と「WordPress(ワードプレス)」は、世界中で最も利用されている2大プラットフォームです。
どちらも「サイトを簡単に構築できるツール」ですが、万能なわけではなく得意不得意があります。
この記事では、どちらを選ぶべきかを判断する基準をわかりやすく整理します。
目次
- Shopifyとは:販売に最適化されたクラウド型サイト構築ツール
- WordPressとは:自由度の高いオープンソースCMS
- ShopifyとWordPressの主な違い
- 運用・コスト面から見る違い
- まとめ:Webサイトの“目的軸”で選ぶのが最も重要
1. Shopifyとは:販売に最適化されたクラウド型サイト構築ツール
Shopify(ショッピファイ)は、世界175か国以上で利用されているクラウド型のオールインワンECプラットフォームです。
2025年現在ではeコマース プラットフォーム市場全体の26.2% のシェアを占めており、インターネット上で最も人気のある eコマース プラットフォームとなっています。
もともと「オンラインストアを最も簡単に始められるツール」として誕生しましたが、現在はコーポレートサイトやブランドサイトとしても活用されるケースが増えています。
※Woocommerce vs Shopify: Market Share Insights for 2025
Shopifyの主な特徴
- テーマやテンプレートを選び、ブロックを組み合わせるだけで見た目の整ったサイトを作成可能
- コーディングによるテーマカスタマイズも可能
- 決済、在庫管理、配送設定などECに必要な機能が最初から揃っている
- Shopifyがサーバー・セキュリティ・アップデートを一括管理
- Shopifyの管理するクラウドサーバー上で動作するため、大量のトラフィックにも耐えることができる
- 標準で多言語・多通貨をサポートしており、海外展開にも強い
- 6,000以上のアプリでマーケティングやデザイン機能を簡単に追加可能。
これらのアプリは全てShopifyの審査を通過しているので品質と安全性が担保されています
Shopifyが得意とするサイト例
- ECサイト・ブランド公式ショップ
- 商品カタログ型コーポレートサイト
- LPやキャンペーンサイト(購入導線付き)
- 越境ECを含むグローバルサイト
2. WordPressとは:自由度の高いオープンソースCMS
WordPress(ワードプレス)は世界で最も利用されているCMS(コンテンツ管理システム)で、全世界のWebサイトの約43%以上がWordPressで構築されています。
そんな圧倒的なシェアを誇るWordpressはブログ、メディア、企業サイトなどあらゆるジャンルに対応できる汎用性の高さが魅力です。
WordPressの主な特徴
- デザイン・構造・機能をコーディングで細かくカスタマイズ可能
- テーマやプラグインによる機能追加が可能
- ブログ・ニュースサイト・オウンドメディア運営に最適
- WooCommerceなどを導入すれば、ECサイトとしても運用可能
WordPressが得意とするサイト例
- コーポレートサイト
- 採用サイト・ブランドサイト
- ブログ・オウンドメディア
3. ShopifyとWordPressの主な違い
| 項目 | Shopify | WordPress |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド型(SaaS) | オープンソース(自社サーバー) |
| 初期費用 | 月額約3,650円〜 | 無料(サーバー費用は別途) |
| カスタマイズ性 | 高い(アプリ+カスタマイズ) | 非常に高い(プラグインまたはカスタマイズ) |
| EC機能 | 標準搭載 | プラグインで追加(WooCommerceなど) |
| サーバー運用 | Shopify側で全管理 | サーバー管理・保守が必要 |
| SEO対策 | 標準設定で十分 | プラグインで高度に設定可能 |
| 多言語対応 | 標準サポート | プラグインで対応可能 |
| セキュリティ | Shopifyが自動管理 | 自社で更新・対策が必要 |
| 運用サポート | 公式サポートあり | 自力または制作会社サポート |
4. 運用・コスト面から見る違い
それでは、実際にサイトを構築・運用する場合にかかる費用はどれくらいになるでしょうか?
ストア構築・月々の運用、また突発的にLPを制作する際にかかるおおよその費用についてあくまで一例ではありますが、具体的な金額を元にそれぞれ解説します。
ストア構築にかかるコスト(初期費用)
ストア構築にかかるコストは、サイトの構築方針によって異なります。
1.無料テンプレートを使用して最低限のコストで構築する場合
この場合、サイト構築も自社で行う前提となるので技術的なハードルについても押さえておく必要があるでしょう。
Shopify:1,150円 ~
[内訳]
無料テーマ:0円
無料アプリ:0円
初月のBasicプラン利用料:150円※
ドメイン利用料:1,000円
※2025年12月時点では最初の3ヶ月間は150円で利用できます。
技術的ハードル:低め
shopifyは他のCMSと比較して直感的で分かりやすい操作が可能かつノーコードで構築が可能です。また、契約したドメインとの接続もShopify管理画面から公式ドキュメント通りに行えるば良く、困った場合はサポートへの問い合わせもできるので技術的ハードルは低めです。
Wodrpress:2,000 円 ~
[内訳]
無料テーマ:0円
無料プラグイン:0円
サーバー利用料:1,000円
ドメイン利用料1,000円
技術的ハードル:高め
Wordpressは制作会社を挟まずに構築する場合、管理画面の操作方法の理解に加え、レンタルサーバーの契約と利用方法の把握しなければなりません。
またサーバーとドメインの紐付け作業が必要な点や、
- テーマによって管理画面の設定項目が変わる
- 管理画面の直感的な操作が難しい
- サポートがない
といった理由から技術的なハードルは高いです。
2.制作会社にサイト構築を依頼する場合
制作会社にサイト構築を依頼する場合の構築費はShopify、Wodrpress共に30万~300万円程度となることが想定されます。
この費用の内訳として
- 要件定義費用
- デザイン費用
- アプリやプラグインの導入費用
- コーディング/機能開発費用
が考えられますが、追加の機能開発、大量のページ制作が必要など、ご要望によっては上記の金額よりもさらに追加で費用がかかる場合があります。
Wordpressでの構築の場合は
- セキュリティ対策が必須
- 大規模サイトではインフラ周りの設計と運用保守が必要
- 社内にWordpressを熟知した技術者がいない場合は構築後保守が必須になる
- 他のCMSから乗り換えで、データ移行が必要な場合にかかる費用がshopifyより高くなる
という点にも注意が必要で、これらをクリアするために費用が上がってしまう場合があります。
ただし、これらは単なるデメリットではなく、Wordpressは非常に開発自由度が高いことの裏返しとも言えるでしょう。
逆にShopifyの場合は、
- セキュリティやサーバーの安定性はShopifyの運用に依存する
- チェックアウトページをはじめとして、Shopifyのセキュリティ担保のために開発が制限されているページや機能がある
という点から、構築時にある程度の妥協が必要になる場合があるからです。
月々の運用にかかるコスト
ここでは1ヶ月の売り上げが100万円のECサイトを運用する場合の運用コストを計算します。保守の外注費用については制作会社や対応範囲によって大きく変動する※ため割愛します。
※WordpressでECサイトを構築する場合、セキュリティ対策やバージョンアップ対応、サーバーへのアクセス集中対策が必須となり、shopifyよりも保守費用が高くなる可能性がある点には注意が必要です。
Shopifyの場合:41,650円
[内訳]
Basicプラン利用料:3,650円
アプリ使用料:1,500円(概算)※
決済手数料:35,500円(売り上げ100万円の3.55%)
ドメイン利用料:1,000円(概算)
※shopifyのアプリは月額5$~15$の間のものが多いので便宜上1,500円のアプリを一つ利用する想定でいます。
Wodrpressの場合:44,200円
[内訳]
プラグイン使用料6,200円(概算)※1
決済手数料36,000円(売り上げ100万円の3.6%)※2
サーバー利用料:1,000円(概算)
ドメイン利用料1,000円(概算)
※1 セキュリティ対策用や、shopifyでは初期搭載のEC機能の追加にプラグイン利用が必須となるので月10$のプラグインを4つ導入する想定で計算しています。
※2 stripeやpaypalなどの人気の決済システムでの手数料を参考に計算しています。
LPを制作する場合にかかるコスト
LPを制作する場合にコストも制作方法によって異なりますが
- コーディングで制作する
- ページビルダー系のアプリやプラグインを追加して制作する
といった場合はShopifyでもWordpressでも大きく変わりません。
大きく違いがあるのは、標準装備のエディターでLPを制作する際です。
Shopifyの場合、標準装備のカスタマイズエディターを使うことで無料テーマであってもそれなりに見栄えのあるLPをノーコードで制作可能です。
一方、Wordpress標準装備のGutenbergエディタでそれなりに見栄えのあるLPを作成するにはある程度コーディングの知識がないと難しいです。
そのため、制作を内省化する場合のコストはshopifyの方が低いと言えるでしょう。
5. まとめ:Webサイトの“目的軸”で選ぶのが最も重要
「自社サイトの目的・運用体制・リソース」によって最適解が変わるツールです。
- 販売導線を中心に置きたい場合や、運用リソースを抑えてスタートしたい場合はShopify
- 豊富な運用リソースや信頼できる外注先があり、情報発信やブランド価値を高めたい場合はWordPress
自社のWeb戦略を明確にした上で、どちらを“主軸”に据えるかを判断するのが成功の近道です。